理事長ご挨拶

 去る2017年6月に開かれました臨時理事会において、2期目の日本産科婦人科内視鏡学会理事長を拝命致しました。第1期目理事長を仰せつかった過去2年間には、理事、監事、評議員、幹事の先生をはじめ、多くの会員のご指導、ご協力を賜りました。ここにあらためて深甚なる感謝を申し上げると共に、さらに2年間のご指導、ご鞭撻をお願い申し上げる次第です。
 日本産科婦人科内視鏡学会の設立目的は定款にあるように、「産科婦人科領域における内視鏡に関する研究の進歩と発展を図り、もって 人類・社会の福祉に貢献する」ことです。先達のたゆまぬ努力と科学技術の進歩により、内視鏡手術手技は短期間で長足の進歩を遂げてきました。技術革新という意味で、本学会が果たしてきた役割は大変大きなものがあります。この技術革新の恩恵を真の福祉、国民の健康増進に結びつけるには、医療安全の確保を中心として患者さんが真に安心できる医療体制を提供して行く必要があります。そのような医療体制を供給するシステムを構築することこそ、本学会に課せられた使命といえましょう。
 世界に先駆けて作られた技術認定制度は、確固たる技術に裏打ちされた安全性の高い手術の普及を目的としています。この制度が内視鏡手術の安全性担保を目的として策定され、わが国の産科婦人科内視鏡手術の医療安全に果たしてきた役割は極めて大きいと考えられます。技術認定医数は順調に増加し、今年度700名を超えました。また、同じく安全性の高い内視鏡手術の健全な普及を目的に設立された認定研修施設制度において、認定施設数は266施設を数えるに至りました。しかし、技術認定医数、認定研修施設数には地域格差があり、大都市集中の傾向はなかなか改善されません。こうした地域間格差をなくすための早急な対応策を練る必要があります。地方では指導者も少なく、多忙な臨床に追われ内視鏡手術のトレーニングをする機会も時間もないのが現状です。これに対する一つの案は、ドライラボによるトレーニングの機会を学会が提供しようという本学会教育委員会の提案です。アニマルラボでの実技研修会は教育委員会が年に3回行っていますが、地方からこれに参加する場合はどうしても制限があります。そこで、ドライボックス研修会は比較的どこでも開催することができるので、地域ごとに小規模な研修会を開きエキスパートが出張指導に出向くというスタイルです。
 技術認定医の地域格差は、認定研修施設の地域格差に直結します。すなわち、技術認定医の不在は施設認可の足かせとなり、地域に認定施設がないとなかなか技術認定医が取れません。現在設定されている認定研修施設のハードルを下げることは許されませんが、ある条件を満たした施設を暫定研修施設に指定し、内視鏡手術のトレーニングが受けやすくなるような環境を作る案が浮上しています。
 臨床面での最近のトピックは、何と言っても子宮悪性腫瘍に対する腹腔鏡下手術です。2014年4月から子宮体癌の腹腔鏡手術が保険適用となり、症例数は急速に増えてきました。また、子宮頸癌に対する腹腔鏡下広汎子宮全摘術も先進医療の対象疾患となり、こちらも認定施設が増加し症例数も増えています。こうした動きをにらみ、学会では腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術セミナーを開催していますが、2017年3月に第3回のセミナーを行いました。若手を中心に多数の参加者を得たことは、この領域に対する関心の高さがうかがわれます。産婦人科領域では悪性腫瘍に対する取り組みが、他領域に比しても、諸外国に比しても大幅な遅れを取っていることは明らかです。日本婦人科腫瘍学会と緊密な連携を取り、悪性腫瘍に対する内視鏡手術の健全な普及に取り組まねばなりません。
 もう一つ忘れてはならないのが海外学会との連携です。日本産科婦人科内視鏡学会はAPAGEの主要なメンバーのひとつですが、完全にイニシアチブを取れている状態ではありません。また、AAGL、ESGE、ISGEなどとの連携も強固とはいえません。日本の内視鏡手術の技術は間違いなく世界最高のレベルにあると思われますが、今後はこうした海外の学会、研究会との連携を密にし、真に世界をリードするJSGOEにして行くべきであると考えます。
 以上、解決すべき課題も山積していますが、会員一人ひとりの声に耳を傾けながら本学会がさらなる発展を遂げるよう粉骨砕身努力して行く所存ですので、一層のご支援、ご指導をお願いしたいと思います。

歴代理事長ご紹介

  • 初代理事長:杉本 修
  • 第二代理事長:岩田 嘉行
  • 第三代理事長:佐藤 和雄
  • 第四代理事長:星合 昊
  • 第五代理事長:堤 治
  • 第六代理事長:吉村 泰典

日本産科婦人科内視鏡学会理事長 竹下 俊行

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